避妊薬が骨盤内感染症を防ぐ理由、頸管粘液の分泌抑制

頸管粘液は、膣と子宮腔をつないでいる子宮頸管を満たす粘液のことです。
子宮頸管は通常、酸性のバルトリン腺液で満たされており、雑菌の侵入を防ぎます。
排卵の時期になるとアルカリ性の頸管粘液の分泌が増加し、子宮頸管内を酸性からアルカリ性に変えます。
精子は酸性では活動できませんが、排卵の時期に子宮頸管がアルカリ性になれば子宮内に侵入することができ、受精しやすくなります。
頸管粘液の分泌を促すのは、エストロゲンです。
エストロゲンは、生理の終わりごろから分泌が増え始め、排卵の直前にピークを迎えます。
排卵が過ぎれば減少し始めて、生理が始まるころに激減します。
避妊薬には、エストロゲンとプロゲステロンが含まれています。
生理開始日から服用すると、体内にエストロゲンが存在するので、脳下垂体はエストロゲン分泌の指令を出しません。
そのため、頸管粘液の分泌が抑制され、子宮頸管の粘液は、酸性で粘り気が強いままになります。
その結果、精子だけではなく、病原体が子宮内に侵入することも防ぎます。
骨盤内感染症は、クラミジアや淋菌などの病原体が、子宮、卵管を通って骨盤内まで感染が広がることです。
また、避妊薬を服用していると子宮内膜の増殖が抑えられるので月経血が減ります。
そのため、病原体の繁殖が抑えられて骨盤内に逆流するケースが減ります。
ただし、避妊薬には性感染症の予防効果はなく、予防のためにはコンドームが必要なことを知っておきましょう。
性感染症はHIVの感染リスクを上げるため、避妊薬で骨盤内感染症を抑制すると、間接的にHIVの感染リスクを低下することになります。
この他、避妊薬には卵巣がん、子宮体がん、大腸がんの発症を抑える効果もあります。